前作に引きつづき、楽曲を制作してくれたのは、プロデューサー/シンガーのササノマリイさん。映像作品に彩りを与えるササノさんの楽曲は、もはや「iichiko story」には欠かせないものとなりました。作曲プロセスや制作に込めた思い、ポスターの印象などを伺いました。

「iichiko story」では、映像作品にぴったりとリンクする曲を作りたいと思っています。曲を別で作ってしまうと、合わせたときに作品が意図しない盛り上がりや落ち着きといったズレが出てきてしまいます。映像作品であることが一番大切です。なので、いつものように曲を作るときとはまったく違ったプロセスで制作しています。
今回は4分ほどもある大作でした。音楽でいうと、最近は短くなっている傾向があります。2分、1分台というのも少なくありません。そういった背景がありながら、4分しっかりと見て、聞いてもらうにはどうしたらいいか。間延びせずに、映像にちゃんと合うかどうかは気にしていました。長さがある分、世界観にどっぷりと浸っていただけるのではないでしょうか。物語も映像も素晴らしかったので、楽しんで制作に取り組めました。大変さはあまり感じませんでしたね。
やはり、音楽制作の機材ですね。ひとつは、「Ableton Live」という制作ソフトです。これがなかったら、僕はいまここにいない、というくらい、支えられています。もうひとつは、パソコンです。実は、新品を買うことはほとんどありません。というのも、なぜか新品だと壊れてしまうというジンクスがあって……。
前の人が使っていたということは、壊れずに動いていたということだということ。不具合があっても致命的なものはないはずだと、誰かが使ったものを手にしています。メインで使っているパソコンは、バッテリーも劣化してきていて、ファンを全開にしながら頑張ってくれているのですが、起動しなくなるまで使いたいですね。


脚本をいただいてキャッチコピーを見たときに思い浮かんだのは、お世話になった人の顔でした。尊敬していた方だったり、学生の頃から目を掛けてくださっている方だったり、自分にとっての恩人と言える方々です。今はこうして音楽を仕事にしていますが、その方々の恥になるような生き方はしたくない、できるならば、僕のことを自慢していただけるくらい、まだまだ頑張っていきたいと思いました。
もうひとつは、生きていて、明日ってどうなるかわからないなと、あらためて思いました。自分がどう生きようと、強制的に切り替わることもある。いい方にも、悪い方にも転ぶことはありますよね。だからこそ、一日を悔いなく生きたい。悔いなくと言うとガムシャラ感がありますが、できることはしておこうと、今回の脚本を読んで思いました。そのあたりの思いも、曲に込められたのではないでしょうか。