脚本・久住昌之さん
インタビュー

漫画家と並行してミュージシャンとしても活躍してきた久住昌之さん。長年音楽に携わってきた久住さんは、どのように青春バンドストーリーを描いたのでしょうか。ストーリーに込めた久住さんの音楽への思いをお届けします。

バンドの解散という青春の1ページが物語の起点になっていますが、「プロを目指すだけが音楽じゃない」という台詞にあるように、久住さんの音楽に対する思いが込められているように感じました。

久住:学生時代や駆け出しの頃って、プロになりたいとかデビューしたいという大きな目標がありますよね。メジャーデビューしてこそミュージシャンなんだ、っていう。でも音楽ってそれだけじゃない。一度そういう夢に挫折して、別の仕事について何年かして、ふと「またあいつらと音楽やりたいなぁ」って、押入れから楽器を出して触る、なんて経験は誰にもあると思うんです。

学生バンドだと就職して社会人になるのはひとつの転機。バンドはとくに、仲間がいないと成立しないので、「就職してもやろうな」って言ってても、各々が忙しくなっちゃうと思い通りに活動できなくなるのが現実です。

でも、学生の時と形が変わっても、昔の仲間と、軽い気持ちで音楽できたらいいのにって思うんです。若いバンドってすぐ「解散する!」って言っちゃいますよね。若い頃特有のこだわりは、音楽本来の楽しさを見失わせがちです。ま、バンド経験者なら誰でも身に覚えがあるはず。

僕は、『孤独のグルメ』の音楽制作のためのバンド・The Screen Tonesのほか、オランウータンズ、QhSIESTAなど、いくつものバンドを組んで活動しています。みんな大人なんで忙しいけど、いろんなメンバーがいるので、集まれる人だけででもできればいいと思ってます。

ライブは1人でもやるし、ウクレレ2人というのもあるし、ホーンセクションやダンサーが入って十数人というのもある。このメンバーならこういうことができるよねって、フレキシブルに考えていて。だから、僕は音楽をつづけているっていうより、やめていないだけなんです(笑)。「つづける」ことにこだわると、時に苦しくなっちゃう。音楽が好きだから、やめるなんて考えたことないだけなんです。

作中には「音楽って自由だよね」という言葉もありますが、久住さんにとっての自由な音楽の楽しみ方、向き合い方はありますか?

久住:大げさに考えなくていいと思うんです。自分が楽しめるようにやれば。「売れなきゃ」って思うと肩に力が入っちゃう。音楽にしろマンガにしろ、何かをつくるときは、まずは何も気にしない柔らかい心構え、つまり自由でいた方がその人らしさが出ると思います。

いい音楽、人の心を動かすものって、上手い下手とは別次元ですよね。たとえば若い頃のボブ・ディランなんてその最たる例。声はシワガレてるし、歌もヘンテコな抑揚だけど、そんなの関係なく心に響いてくるものがある。ものすごく歌唱力がある人が、ボブ・ディランのヒット曲を歌っても、まったくツマラナイ。上手い下手じゃないんです。聞いてる分にはそのことがすごくわかるんだけど、自分で演奏する段になると「上手くやらないと」「下手だと聞かせられない」ってなっちゃう(笑)。音楽は自由なはずなのに、その手前の、上手い下手のところで足踏みしてしまう。

ムギボーイズも、「仕事をしながらでも音楽やってみようぜ」っていうくらい力が抜けた感じの方が絶対うまくいく。僕も若い頃はもちろん力みがちだったので、その頃の歌なんて、いま聴けたもんじゃないですね(笑)。力を抜いてラフにやってる方が、聞いてる方にも心地いい音楽になると思うんです。

作中のシーンにも「〈いいちこ〉の飲み方は自由だ」といったお話がありましたが、久住さんの最近の〈いいちこ〉の楽しみ方を教えていただけますか?

久住:200mlのいいちこカップがお気に入りです。地方は店が閉まるのが早い。でもホテルの自販機にはビールとチューハイしかない。焼酎がないんですよね。だから外でいいちこカップを買ってカバンに忍ばせる。「これがあれば大丈夫!」って(笑)。

もうひとつは、すごくおいしい梅干しを見つけたんです。福井県の若狭にある、紅映(べにさし)梅という品種の梅干しです。添加物なしだから減塩はしてないんだけど、すっぱすぎずしょっぱすぎずちょうどいい。で、これを〈いいちこ〉お湯割りに入れたら最強!

生産量が少ないから都内で手にいれるのは難しいんだけど、そんなに高価なものじゃないんです。もう梅干しは一生絶対これっていうくらい好き。最近は地方に呼ばれることが増えてきて、各地でいろんな酒の友を見つけるのが楽しいですね。

久住昌之(くすみ・まさゆき)

1958年、東京・三鷹生まれ。マンガ家、ミュージシャン。法政大学社会学部卒。美學校・絵文字工房で、赤瀬川原平に師事。 1981年、泉晴紀(現・和泉)と組んで「泉昌之」名でマンガ家デビュー。谷口ジローと組んで描いたマンガ『孤独のグルメ』は、2012年にTVドラマ化された。『花のズボラ飯』『野武士のグルメ』『荒野のグルメ』など著作多数。

キャストインタビュー

声優を担当したのは、春日つぐる役に小林裕介さん、ひろ役に白井悠介さん、ツッチー役に天崎滉平さん。インタビューでは、本作に込めた思いに加え、声優として活躍するまでの若き頃のエピソードも伺いました。

スタッフインタビュー

ササノマリイさん インタビュー

プロデューサー/シンガーのササノマリイさんが楽曲を担当。本作のために書き下ろした楽曲の制作プロセスやアニメーションファンとしての必聴ポイントを伺いました。

アニメーション制作陣 インタビュー

〈いいちこ〉駅貼りポスターを起点に繰り広げられる物語を、アニメーションで表現する「iichiko story」。その根幹をなす映像制作に携わった制作陣にもインタビュー。クリエイションの舞台裏を伺いました。

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